
2025年11月14日、少子高齢社会での地域支え合いによる生活支援について、奈良市の収集課・地域づくり推進課・福祉政策課の3課に質問しました。
「少子高齢社会での地域支え合いによる生活支援について」
質問)しなと幸一
近年、少子高齢化が進む中で、地域の中で日常生活におけるさまざまな困りごとが増えています。特に、移動支援については地域のボランティアや自治会の協力によって少しずつ取組が進み、一定の成果も見られます。
しかし、それ以外にも、ゴミ出し問題や子どもの見守り、高齢者の見守り、庭の手入れ、障害者との買い物の同行など、ちょっとした生活支援が必要とされる場面が多くなっており、地域では対応しきれない現状も聞いています。
1)地域での支え合い活動に対する現状認識について(地域づくり推進課)
質問)しなと幸一
まずお伺いします。本市として、地域におけるこうした「生活支援活動」の実態やニーズをどのように把握されているのか、また、既に地域で自主的に行われている支援活動をどのように評価しておられるのかを伺います。
答弁)地域づくり推進課
地域づくり推進課としましては、地域自治協議会が、社会福祉協議会や民生児童委員協議会など地域の福祉団体と連携して、移動支援や生活の中のちょっとした困りごとの解決のための支援など、様々な活動に取り組んでいただいている地域があることは認識しております。
このように、行政が直接実施できないような、住民にとって身近な課題の解決のための取組を実施していただくことは、これからの地域社会にとって重要なものと評価しています。
2)行政としての支援体制の現状と課題について(地域づくり推進課)
質問)しなと幸一
移動支援の取組を行っている地域では、行政の制度の狭間にあるような「ちょっとした支援」が求められていると感じています。
こうした活動を継続的に行うためには、担い手の確保や保険制度、活動資金などの仕組みづくりが不可欠です。
行政として、これら地域の生活支援活動に対し、どのような形で支援や後押しを行っているのか、また課題をどう認識しているのかを伺います。
答弁)地域づくり推進課
地域づくり推進課としましては、地域の様々な課題の解決に取り組むため、地域の住民や地域の各種団体が連携・協働する仕組みとして、地域自治協議会の設立を推進しているところです。
地域自治協議会の取り組みに対しては、地域づくり一括交付金を交付し、地域の様々な課題の解決のための取組に柔軟に活用していただいているところです。
また、各地域では担い手不足が課題となっていることから、担い手不足への対応策のひとつとして、今年度より事務局員の雇用等の支援を目的として本交付金を増額したところです。
3)高齢化に伴うごみ出し困難者への支援と地域協力体制の強化について(地域づくり推進課・福祉政策課)
質問)しなと幸一
本市ではステーション方式でのごみ収集を実施しているが、高齢化に伴いステーションまでごみを運ぶことが困難な方が増加しています。
結果として、家庭内にごみが滞留し、いわゆる「ごみ屋敷化」するケースも見受けられます。今後、誰もが安心してごみを適切に排出できる仕組みや地域・行政の支援体制について伺います。
3-1 現状の把握(福祉政策課)
質問)しなと幸一
本市として、ごみ出しが困難な高齢者や障がいのある方の実態を把握されているのか?
また、現在どの程度の世帯でごみの排出が困難とされているのか調査などされているのか併せて伺います。
答弁)福祉政策課
ごみ出しに関する実態調査については、令和5年3月末に収集課と共同で、高齢や障害者等の生活支援に関わりがある市内約200か所の福祉事業所を対象にごみ出しが困難な方の属性や困難な理由などを調査するごみ出し支援に関するアンケートを実施しました。
また、民生委員・児童委員への地区別ヒアリングなどでも、地域のごみ出し支援に苦労されているといったご意見もお聞きしております。
3-2 支援制度の状況(収集課・福祉政策課)
質問)しなと幸一
他の自治体では、「ごみ出し支援事業」や「個別収集支援」を導入している例もあります。本市として、これまでにごみ出し困難者への支援制度の検討や導入実績はあるのか伺います。
戸別収集について
答弁)収集課
ごみ出し支援としての戸別収集は行っていない。
排出場所が狭隘な道路など、ステーションの設置が難しいところなどでは、一部戸別収集となっているところがある。
ごみ出し支援について
答弁)福祉政策課
ごみ出しをはじめとした日常生活上のちょっとした困りごとの解消に向けた地域での生活支援を活性化させるとともに、支援者の介護予防の観点から、
地域における高齢者を中心とした住民の社会参加を促し、介護予防の促進のための活動として生活支援に関するボランティアを行う団体に対し、
当該団体の活動に要する経費の一部について補助金を交付する「奈良市地域支え合いモデル事業」を今年度9月より実施しております。
本事業においては、現時点で5件の申請を受けており、うち、1件がごみ出し支援に関するものでございます。
3-3 地域連携(収集課)
質問)しなと幸一
現在、ステーション方式を維持するには地域の協力が不可欠です。地域では担い手不足や高齢化により地域連携が難しくなっている地域もあります。市として、地域の負担軽減や維持管理の支援をどのように考えているのか伺います。
答弁)収集課
当課では、ステーションの設置場所の選定に関する助言や他地域での設置や管理の方法で工夫されている事例の紹介など、地域からのご相談に応じて、可能な範囲での支援を行っている。
今後も、ごみ収集を担う担当課として、市民のご協力に応えるべく、地域の実情に寄り添いながら、柔軟な対応を行うことで、ごみ出しの利便性の向上に努めていきたいと考える。
3-4:今後のごみ出し支援の方向性について(3課合同)
質問)しなと幸一
今後、ステーション方式についても見直しや、ごみ出し困難者への個別回収、地域包括支援センターなどとの連携を強化することが必要と考えます。
また、モデル地区を設定して実証的に取り組むことが必要と考えますが、本市として検討することが出来るのか伺います。
答弁)収集課
当課としては、ステーション方式による家庭ごみの収集を基本としておりますが、まずは地域の協力のもと、自助・共助を基本とした、支援の枠組みづくりを進めて行きたいと考えている。
答弁)地域づくり推進課
モデル地区を設定し実証的に取り組むことについて、地域自治協議会へ交付している交付金を活用いただければと考えております。
答弁)福祉政策課
ごみ出し困難者の抽出や、地域包括支援センターとの連携強化などについては、関係課である障がい福祉課、長寿福祉課、介護福祉課等との連携が必要であると認識しております。
4)収集時間の課題と改善可能性(収集課)
4-1 現状の確認(収集課)
質問)しなと幸一
過去に議論された中で収集時間についても俎上に上がったと思います。
現在、奈良市では家庭ごみは「午前7時30分までに出す」とされていますが、この時間設定の根拠や理由を改めてお聞かせください。収集時間とその運用について。
答弁)収集課
収集時間ついては、交通状況や道路工事、狭隘道路での駐車車両の有無など、様々な要因によって変動する可能性があることから、
収集作業の安全性と効率性を確保しつつ、出し遅れによる未回収を防止するため、午前7時30分までの排出をお願いしている。
また、家庭の活動時間を考慮すると、朝の時間帯に排出することは、収集作業の円滑化と生活リズムの両面から妥当性があると考えている。
しかしながら、本市においては市全域を対象に効率的かつ公平に収集を行う必要があり、地域ごとに収集時間を段階的に設定すると、収集車両の運行管理が複雑化し、作業員の勤務体制や交通安全面にも支障をきたすおそれがある。
収集時間の柔軟な運用については、他自治体において、夜間収集を導入することで防犯や交通渋滞の緩和に資している事例も見られ、こうした取り組みは一定の効果を上げていると承知している。
4-2 課題の提示(収集課)
質問)しなと幸一
勾配のある地域では、高齢者がごみを持って下り坂や階段を使うのが大変だという声が多く寄せられています。
特に一人暮らし高齢者の場合、介護ヘルパーの訪問時間が9時以降となることが多く支援を受けられないまま、ごみを出すことが困難なケースもあります。
例えば、地域の実情に応じて特に高齢者が多い地域では「10時までの対応」など、一定の緩和を試行的に実施することは考えられるのか伺います。
答弁)収集課
勾配のある地域における高齢者のごみ出しや、介護ヘルパーの訪問時間との関係により、支援を受けることが難しいケースがあることは、地域からの日常の問い合わせや相談を通じて把握している。
ステーション方式のもとでは、こうした個別の事情に対して、介護ヘルパーによる支援や、地域住民による見守り・支え合いなどにより対応されている事例があることも承知している。
4-3 支援体制との連携(福祉政策課・地域づくり推進課)
質問)しなと幸一
そこで、介護ヘルパーや地域の支援ボランティアなどと連携し、「ごみ出し支援サービス」として制度化・周知を図ることについて、「地域ごみ出し支援ボランティア」や「地域包括支援センターとの連携による見守り型ごみ出し支援」など、福祉と環境の連携体制づくりを進めていく必要があると考えます。
実際に社会福祉協議会の会議の中でも課題として挙げられています。本市として、実証的なモデル事業や地域支援制度を検討する考えについて伺います。
介護ヘルパーと連携したごみ出し支援サービスの制度化や周知の実施については、環境部だけでなく介護保険制度を所管する介護福祉課との連携も必要であると認識しています。
答弁)福祉政策課
当課としては、まずは現在実施中の奈良市地域支え合いモデル事業の展開に注力するとともに、介護ヘルパーと連携したごみ出し支援サービスも含めたその他の高齢者のごみ出し支援に資する施策についても研究をすすめてまいります。
5)今後の取組方針(収集課)
質問)しなと幸一
今後、高齢化がさらに進む中で、ごみ出し支援や収集体制の見直しは避けて通れません。本市として、今後どのような形で検討・改善を進めていくお考えを伺います。
答弁)収集課
高齢の方や障がいをお持ちの方々を含め、ごみ出しのみならず様々な日常生活上において支援が必要な方がおられることは、重要な課題と認識している。
これらの方々が住み慣れた地域で自立した生活を営んでいくためには、地域の協力による支え合いが不可欠であり、本市としてもその体制づくりを進めてきた。
その一環として、先ほどの答弁にもあったが、福祉部局において、日常生活上のちょっとした困りごとの解消に向けた地域での生活支援を活性化させるとともに、支援者の介護予防の観点から住民の社会参加を促すことを目的に、「奈良市地域支え合いモデル事業」を本年度9月より実施している。
本事業では、生活支援に関するボランティア団体に対し活動経費の一部を補助している。
こうした地域の取り組みを尊重し、まずは地域の協力による共助を基本に、持続可能な支援体制の構築を目指したいと考えている。
しなと幸一からの意見陳述
高齢化が進み、ステーションまでゴミを運べない方が増加している現状において、早急な対応が求められています。
従来の地域協力型ステーション方式だけでは対応が難しくなってきており、福祉政策課から地域支えあい事業がゴミ出しについても支えあい事業の一環であるように言われていますが、現場として使いやすい事業とは言えません。
担当委員会ではないことから深く追及は致しませんが、もっと現場に沿った使いやすいものにしていただきたい、また収集時間ですが質問したように過去とは実態が変わっています。
これからの市民生活を改めて調査いただき実情に合った体制づくりをお願いいたします。
補足(参考情報)
- 高齢者世帯の分布(特に勾配のある地域)
- 介護ヘルパーの訪問時間帯の傾向(平均9時前後開始)
- 他市(例:生駒市など)の柔軟な収集時間の事例













