2025年9月議会で示された「新クリーンセンター候補地への調査費用継続審議」。
 この判断は単なる予算の先送りではありません。 
 「決められない政治」が、私たちの日常と未来への重荷になっている可能性があります。
1. 決断の遅れはコストを肥やす
施設の老朽化は待ってくれません。 
 現クリーンセンター(環境清美工場)は40年以上の歳月を経ており、 
 設備能力の低下と安全性・維持管理の困難さが課題です。
 
 調査や候補地選定が滞れば、延命的な補修費用、緊急対応、不具合の発生リスクが膨らみます。 
 長く先送りすれば、最終的なコストは予算を大きく超える可能性があります。
2. 市民生活と安心感への波及
例えば、焼却施設の稼働が不安定になれば、 
 悪臭、煙、騒音、搬送経路の混雑など、周辺住民に直接的な不快や健康懸念を生じさせる可能性があります。 
 また、候補地が住民との合意なく決定されれば、地域の反発や信頼の崩壊を招きます。 
 「住民合意」という言葉は表面上、尊重されるべきですが、形だけでは空洞化します。
3. 決められないという政治の責任
議会・行政が「深める時間が必要」という理由で予算検討を後送りにする判断を続けるなら、 
 それは実質的には「現状維持の選択」につながります。 
 議員として、行政担当者として、そして市民として、「いつまで停滞するか」を問い続ける責任があります。 
 対話も説明も不足しているならば、市民を巻き込む議論の場をつくるべきです。
4. 私の考えるアプローチ
候補地選定手法を公開・可視化し、説明責任を果たす 
 複数案を並べてコスト・環境負荷の比較を提示 
 住民説明会、ワークショップ形式で市民アイデアを取り入れる 
 経過観察・成果報告をこまめに行い、透明性を担保する
決められないことこそが、地味だが致命的な課題になる。 
 政治は、無為であることさえも選択のひとつとみなされてしまう。 
 だからこそ、今、この瞬間から「決めるためのプロセス」を構築すべきだと思います。
しなと 幸一 (奈良市議会議員)
 
  
  
  
  
  
 


